「デザイン入門教室」をkindle版で購入したので、要点のメモを取りながら読み進めています。
デザインにはルールがある
黄金比(Golden Ratio)とは「自然界に多く存在し、かつ人間が美しいと感じる比率」。具体的には「1:1.618」(近似値)。例えば、紙面上に配置する画像や図形の縦横比を黄金比にする、ということが考えられる。
センスよりも大切なこと
- 誰に何を伝えたいのかを明確にすること(目的)
- その目的の実現に最適なデザインの手法(基本ルール)を選び、制作すること。
デザインはあくまでも手段
デザインはあくまでも手段であって、目的ではない。「美しいデザインに仕上げる」ということが目的になってしまっては本末転倒。
「読み手が必要としている情報は何か」、「読み手はどのように感じるか」といった、読み手(第三者)を主体としてデザインを検討することが大切。
基本的な制作フロー
- 情報の整理
- レイアウト① 版面・マージンの設定
- レイアウト② グリッドの設定
- レイアウト③ 役割を与える
- レイアウト④ 強弱の設定
- 配色
- 文字・書体選び
- 情報の図式化
1 情報の整理
まずは「なぜこの制作物を作るのか」という問いに対する答えを考えて、制作物や資料の目的を明確にする。
- いつ
- 誰が
- どこで
- 何を
- どのように
- 目的は
- 結果
同じ文字情報であっても、優先的に掲載すべき情報や大きく掲載したほうが良さそうな情報が浮き彫りになり、同様にあまり重要ではない情報なども見えてくる。
- ※受注仕事の場合
-
第三者から仕事を受注してデザインを制作する場合は、必ず事前に、必要な情報や素材を受け取り、その内容について打ち合わせをする。勝手に判断して作業を進めると、後になって「イメージと違う!」といった事態になる。
2 レイアウト① 版面・マージンの設定
版面とは「文字情報や写真、図版などを配置できる領域」。「レイアウトスペース」とも呼ばれる。
これらの要素を配置してはならない領域のことを「マージン」や「余白」という。
版面の大きさのことを「版面率」といい、版面が大きい場合を「版面率が高い」、版面が小さい場合を「版面率が低い」という。
版面率が高い紙面では、たくさんの情報を掲載できるため、読み手に「にぎやか」「楽しい」といった印象を与える。商品カタログなどの情報量の多い紙面に適している。
版面率が低い紙面では、マージンが広くなるため、「静か」や「落ち着いた」、「高級感」などの印象を読み手に与える。高級感のあるブランドの広告や、落ち着いた紙面に適している。
(例)B5(縦257mm×横182mm)のチラシに対して上下・左右ともに8mmのマージンを設定→スッキリとしたデザイン
- 標準的なマージンの幅
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- A0、B0以上(ポスター、大判広告など)…情報多:25mm〜40mm、情報少:40mm〜
- A1〜A3、B1〜B3(チラシ、広告、フライヤーなど)…情報多:7mm〜12mm、情報少:12mm〜
- A4以下、B4以下(プレゼン資料、企画書など)…情報多:7mm〜12mm、情報少:10mm〜
- はがき、ポストカード…情報多:5mm〜8mm、情報少:8mm〜
- 名刺:情報多:5mm〜7mm、情報少:7mm〜
3 レイアウト② グリッドの設定
グリッドとは、紙面の縦横に等間隔で配置される格子状のガイド。そのガイドに沿って要素を配置すれば、簡単にまとまりのあるデザインに仕上げることが可能になる。
グリッドを用いたレイアウト手法のことを「グリッドシステム」という。
レイアウトの基本は「要素同士を揃える」。揃えることで紙面がまとまり、秩序のあるデザインになる。
一般的な参考値としては、A4サイズ縦の場合は縦3〜12段、横3〜7段程度。
- 文字の大きさからグリッドの大きさを決める
-
グリッドの横の長さは、文字の大きさの倍数を基準にするとよい。
例えば、文字サイズ8pt(約3mm、1pt=約0.35mm)なので、3の倍数の54mmに設定。
縦の長さは、
行送り×行数−行間=グリッドの縦の長さ - ブロックの間隔を調整する
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行間+行間+文字サイズ=ブロックの間隔
余った部分を上下左右のマージンで調節。
4 レイアウト③ 役割を与える
「役割を与える」とは、紙面のどの部分に情報を配置するかを考えるということ。
重要度の高い情報を目立つ場所に配置し、そうでない情報は控えめな場所に配置するなど、情報の性質に応じて紙面上にレイアウトする。
似た内容の情報を近くに配置し、関係性のない情報は離して配置する。
- グループ化(接近効果)
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人は無意識のうちに同じ形をしたものや、近くにあるもの同士を、1つの「まとまり」として認識しようとする。この性質のことを「ゲシュタルトの法則」という。
要素をグループ化する方法には、近づけたり、離したりする方法以外に、色や形でグループ化する方法(類似)や、括弧や罫線などで囲む方法(閉合)などがある。 - 要素同士を揃える
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形の異なる要素は、各要素の視覚上の重量(軸)または占有領域を基準にして、実際に要素を見ながら手作業で揃えていくことが必要。
複雑な形をした図版などの場合は、囲みをつけて、その囲みを基準に補助線をひき、配置要素を揃える方法もある。
要素同士の位置やアキ(余白)を揃えることも重要だが、同じ重要度の写真や図版などを複数掲載する場合は、被写体の大きさや図版の大きさを揃えることも重要。
ボックスの中に文字を入れるデザインを施す場合、ボックス内のずれを見落としがち。 - 反復・繰り返し
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複数の要素に同一のデザインルールを適用することで、それらに規則性が生まれ、全体にまとまり感や統一感が生まれる。
具体的には①写真・図版のサイズ、②文字サイズ、③書体の種類、④罫線などの装飾、⑤色、⑥配置、⑦マージンなど、同一グループ内のすべての要素に同一のデザインルールを適用する。
1つでもルールから外れていると、規則性が大きく損なわれる。合わせられる部分については、徹底して合わせる。
「反復・繰り返し」は繰り返す要素が多いほど効果的。
5 レイアウト④ 強弱の設定
要素ごとの役割に応じて、強弱をつける。強弱を設定するための基本作業はシンプルで、強調したい要素を大きく、そうでない要素を小さくする。
複数の文字要素を配置する場合は「読ませる文字」と「見せる文字」を明確にすることがポイント。
文字要素をアイコン化して、紙面に強弱をつけるのも効果的。
- コントラスト(対比)
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- 大きい文字と小さい文字の対比
- 写真や図版と文章の対比
- 色の対比
- 密度の高い部分と余白の対比
- ジャンプ率
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紙面上の「大きい部分」と「小さい部分」の比率のことを「ジャンプ率」という。
ジャンプ率が高くなるほどセンセーショナルな印象になるため、訴求力が高くなる。
ジャンプ率が低くなると、静かで落ち着きのある印象になるため、高級感のある紙面を演出できる。
ジャンプ率を考える際、感覚で調整する場合もあるが、「等差」「等比」「数式」などを基準に考えていくのも1つの方法。 - 文字のジャンプ率
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文字のジャンプ率とは、「本文のサイズ」に対する「タイトル」「見出し」「キャプション」の大きさの比率。
それぞれの文字要素の役割を加味したうえで、文字サイズを変えてコントラストをつける。 - 読み手の視線をコントロールする
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横組みの紙面を眺める場合、人の目は通常左上から右下へと「Z型」に動く。掲載されている写真や図版が並列で配置されている場合、視線は通常の動きをするが、写真や図版のどれか1つを大きくすると、通常の視線とは異なった動きをするようになる。
6 配色
デザインの配色は、制作物の目的やコンセプト(用途や期待する効果)などを考慮しながら検討する。
色を選択する基準は「イメージ」だけではなく、例えば、対象企業のコーポレートカラーを使用したり、逆に競合他社が使用している色は避けたりすることもよくある。
7 書体選び
書体選びの基本は「複数種類の書体を使わない」。多数の書体を1つの紙面上で使用すると、場合によっては統一感のない仕上がりになる。
8 情報の図式化
図式化すれば一目で必要な情報を認識できる。代表的なのが地図やグラフ、チャート。
基本から、あえて外れる
断ち落とし配置
写真や図版を紙面からはみ出すように配置する技法。空間の広がりや被写体の動きを効果的に表現することができる。
複数の写真がある場合は、1つずつ実際に配置してみて良し悪しを判断(すべての写真に向いているわけではない)。
写真の四隅すべてを断ち落としにする必要はない。上部のみ、左右のみなどの、部分的な断ち落とし配置も効果的。
重心と見た目
紙面のバランスを考えるコツは、配置されるデザイン要素の「重さ」を考えること。
「重さ」は文字、写真、図版、色面の濃度差に置き換えて考えることができる。
文字は太くしたり、字間を詰めたりするほど、密度が高くなるため、重く感じるようになる。
写真や色面は、背景とのコントラストが大きいほど重く感じる。
また、同じ大きさの文字や写真、色面であっても、色が濃いほど重く、薄いほど軽く感じる。
各要素を配置する際は、こういった「重さ」を意識したうえで、紙面の重心を考える。レイアウトの重心を紙面の中央に置くと、安定感のある仕上がりになる。
紙面のバランスを考えるコツは、配置されるデザイン要素の「重さ」を考えること。
「重さ」は文字、写真、図版、色面の濃度差に置き換えて考えることができる。
文字は太くしたり、字間を詰めたりするほど、密度が高くなるため、重く感じるようになる。
写真や色面は、背景とのコントラストが大きいほど重く感じる。
また、同じ大きさの文字や写真、色面であっても、色が濃いほど重く、薄いほど軽く感じる。
各要素を配置する際は、こういった「重さ」を意識したうえで、紙面の重心を考える。レイアウトの重心を紙面の中央に置くと、安定感のある仕上がりになる。
写真の重心は、写真全体ではなく、部分を見て判断することが大切。
余白の設定
「何もない」をデザインする。
普通に考えれば「余ったスペース」だが、デザイン制作時は意識的に余白の在り方を考えることが必要。
余白には、紙面を演出する要素であると同時に、要素同士を結びつける役割や、重要な部分を強調する役割などがある。
空間の使い方=余白の使い方。「静かな空間=広い余白」。
「さまざまな要素を配置した結果余った空間」としての余白ではなく、あらかじめ余白に役割を与え、それを実現するために、余白をデザインするというアプローチで、空間を演出する。
紙面の四隅すべてに何らかの要素が配置されていると、空間の逃げ場がなくなるため、窮屈で息苦しい印象になることがある。要素を配置するのは四隅のうちの2〜3箇所に留め、意図的に空間の逃げ場を作る。
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